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Meyerのオブジェクト指向入門(第2版)は、プロのためのオブジェクト指向入門

オブジェクト指向入門 第2版 原則・コンセプト (IT Architect’Archive クラシックモダン・コンピューティング)
[入門」とタイトルについているけれど、これはソフトウェア工学、構造化設計技法、テスト技術、などのソフトウェア・エンジニアとしての素養がしっかりある人がオブジェクト指向技術に「入門」するという意味だと悟った。

はじめに

Meyer流の「オブジェクト技術の核心をなす4つのアイデア

  • 構造的な手法 : クラス
  • 信頼性の規律 : 契約
  • 認識論上の原則 : 抽象データ型
  • 分類の技法 : 継承

第1章 ソフトウェアの品質

「工学の目的は品質である」
最初にこれかぁ。がつんっときました。
「本書ではソフトウェア製品の品質を飛躍的に高める可能性を持った一連の技法を紹介する。」
ということです。品質の定義についてはISO/IEC 9126-1などの有名なものもありますが、Meyer氏の分類はとてもうなずけます。
正確さ、頑丈さ、拡張性、再利用性、互換性、効率性、可搬性、使いやすさ、機能性、適時性

第2章 オブジェクト指向の基準

ここではオブジェクトらしさの定義をこころみてます。

第3章 モジュール性

5つの基準、5つの規則、5つの原則でモジュール性について詰めていきます。

  • 5つの基準
    • 分解しやすさ
    • 組み合わせやすさ
    • 分かりやすさ
    • 連続性
    • 保護性
  • 5つの規則
    • 直接的な写像
    • 少ないインタフェース
    • 小さいインタフェース
    • 明示的なインタフェース
    • 情報隠蔽
  • 5つの原則
    • 言語としてのモジュール単位
    • 自己文書化
    • 統一形式アクセス
    • 開放/閉鎖
    • 単一責任選択

第4章 再利用性へのアプローチ

・・・

ここまで、オブジェクト指向のなんちゃって紹介はまったく出てきません。品質で目的を明確に定義し、オブジェクト指向の持つ特性を網羅的に整理し、目的へ向かってモジュール性、再利用性とせまっていきます。
なかなかの出だしです。この本は評判以上にすごい本です。