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GISコミュニティフォーラム(2日目)

昨日のGISコミュニティフォーラム(1日目) - torutkの日記に続き、第9回GISコミュニティフォーラム参加です。

午前は防衛プレナリーセッション、午後はArcGISテクニカルセッションのアドレスマッチング、交通ネットワーク解析、空間統計情報の3つを聴講しました。

防衛プレナリーセッション

米国Esri社の方の講演で同時通訳でした。クラウド、ポータル、ダッシュボード、ビジネスシステムとGISとの統合とかなり広範な内容を扱っていました。気になったところだけ箇条書きメモを記載します。

  • 国家機器に対しては省庁横断した対応をするため共通サービスが必要
  • 地理空間情報を提供する1つのプラットフォーム、専門家でなくても使える企業システムとなるべき
    • 昨日の公衆衛生GIS事例紹介でも現場でGISを使う難しさが課題としてあがっていたので、これは今後のGIS共通の課題なのでしょう
  • 統合が重要、地理情報だけでなくいろいろな情報(例としてTwitterFlickrの名前も挙げていた)を取り込む、マッシュアップする
  • 地図は知識に対する窓、ポータルの開発がポイント
  • クラウドSOAの延長、拡張性・弾力性が必要なシステムに、複数の組織が共有する、簡単にサービスを使えるなど
  • GISクラウドに移動する
  • デマンドが一定ならクラウドでなくても
  • デモの1つは、デスクトップアプリケーションでコンテンツ(水陸作戦に必要な複数の地図を組み合わせ)を作成し、それをタブレットPCAndroid端末で見るというもの。
    • GIS専門家はコンテンツ(素材)を提供、GISの非専門家でも簡単に活用できる
  • ビジネス統合のデモでは、Excel上で用意された地震発生リストからExcelのグラフ挿入と同じ様な操作でEsri Map挿入を行い、緯度/経度の列を指定すると地図上に地震分布が表示されるというもの。さらに別なExcelのデータとして原発の場所リストから先の地図に追加し、地震発生頻度の高い場所に近い原発を可視化していました。最後に作成したコンテンツをサーバー(SharePoint?)にアップしていました。
  • GISシステムは、ファイルベース→RDBMSベース→ネットワークベース→サービス指向と発展、サービス指向の段階でやっと統合(組織間で共有?)が可能となった(ネットワークベースでは統合が実現できなかったと言っていたかも)
  • 課題は技術だけでは解決しない、ビジョン、上層部の支持、立案大事、ただし分析地獄で麻痺しないように。5年前の要求は今は不要。
  • 人材重要、よい人材の採用だけでなく保持し続けるように。そうしないなら優秀な人材をESRIが迎えますよ。

ArcGIS で簡単!アドレスマッチング

住所を入れると地図上でその場所が出るというアドレスマッチングについてやさしい紹介です。昼食後のセッションなので、少し意識が・・・。
アドレスマッチングの高速化テクニック(キャッシュの知ってい)についても簡単に紹介がありました。

ArcGIS Network Analyst 〜使える交通ネットワーク解析〜

道路、鉄道などの経路検索機能ですが、巡回セールスマン問題も解析できる結構高機能なものでした。最短経路の算出のベースとなるコストはデフォルトでは距離や時間ですが、独自にコストを作成することも可能です。CO2量を例に挙げていました。
デモが多くネットワーク解析のイメージが掴めるセッションでした。以下デモの内容を箇条書きします。

  • 広域避難所から徒歩10分圏/20分圏の図を作成する
  • 人口統計と徒歩20分圏の面積案分して避難所が受け持つ人数を出す
  • 避難所から15分でいける病院を出す(15分以内に病院がない避難所を抽出する)
  • 海抜5m以下が浸水した想定で、そこを通らないルートを出す
  • 避難所を増やすにあたり7候補から最適な3つを選ぶ。ここでは徒歩20分圏により多くの人口をカバーするもの)

知って得する!空間統計情報

ArcGIS基本機能で用意されています。空間情報に偏りがあるかどうか分析するツールとのことです。

デモ1

  • 神奈川県待機児童数(市区別人数)の年度別変遷
  • 解析には距離が重要(Zスコア)
  • クラスタ化しているか否かの判定
  • 帰無仮説の棄却

デモ2

  • ポートランドの緊急通報の多い場所を解析
  • イベントの条件で集約

感想めいたもの

地図をベースとした可視化は、なんといっても分かりやすいのでこれから様々な用途に使われていくと思います。インターネットにはGoogle Mapを利用したマッシュアップで簡単に可視化という方法もあるのすが、昨日の口蹄疫の事例であったような発生農場の分布、クラスタ解析、今日の経路解析など多様な解析を行うことが可視化の裏で必要になっています。

いままでGISを単純な可視化(地図を表示し、その上に目標物を表示する程度、でもそれすら難しかったのですが)でしか使っていなかったので、GISに対する
見方が少し膨らみました。

また、GISを使う人はソフトウェアの専門家ではないので、容易に使えるようなことも十分考慮しなくてはならないなと感じました。