昨日(プレフォーラム・セミナー)のGISコミュニティフォーラム(第0日) - torutkの日記に続いて第9回 GISコミュニティフォーラム | ESRIジャパンの1日目の参加です。
今日は、午前中の公衆衛生GISセッション(事例発表)を聴講しました。午後は、展示ブースを回ってから会社に戻って仕事でした。
公衆衛生GISセッション
公衆衛生セッションは次の3つの事例紹介で構成されていました。
今後の仕事で、GISによる可視化を検討するので参考になりそうな事例がみれるかもと聴講しました。公衆衛生はまったく専門外なので、本ブログ内容にまちがい、フォーカス違いがあるかもしれません。
家畜衛生分野におけるGIS活用事例
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所で疫学領域の研究をしている早山先生から、2010年の宮崎県での口蹄疫流行におけるGIS活用事例の紹介です。
疫学は、動物の集団を対象とし、集団の中で健康事象の頻度や分布を調べ、健康事象に与える要因とその対策を研究するそうです。
疫病の地理的特性の解析にGISによるデータの可視化と空間統計解析が役立ちましたという内容です。
分析には空間クラスター解析という手法を使い、発生がランダムか偏りがあるかを識別し、その後多変量解析で要因を抽出していました。
実データを下にシミュレーションモデルを構築し、発生動態を把握する際にもGISの可視化を活用していました。
GISの課題としては、GIS・データをうまく扱うテクニック、空間解析技術、そしてデータの整備を挙げていました。
口蹄疫の説明や牛/豚の病気に対する特徴、対策の方法とその得失などGISとは直接関わらないですが興味深い話をきくことができました。
緊急時対応におけるGISの運用
九州大学大学院医学研究院 先端医療医学部門災害・救急医学分野の永田先生から、東北震災対応におけるGIS活用の難しさについての紹介です。
先生は、震災発生翌々日の3/13からいわき市に入り、災害初期迅速調査とその後の人道支援にあたるなかで、調査結果のGISによる可視化を狙っていたけれど現地では手一杯でご自身での活用は難しかったという話を率直にされていました。
逆に、他の地域でGIS活用がうまくできていたと思われる事例として次の2つを簡単に紹介しました。
陸上自衛隊第9師団が各避難所の状況を足で調査し1枚の図(COP:Common Operational Picture)を作成、対策に活用
Googleマップ上に避難所をプロットし、状況を載せた
これらは、組織的に対応して作っていたものなので、緊急時にGISの活用をはかるには組織的に対応しないと難しいということでした。
HPワークステーション(展示ブース)
HPがワークステーションと大判プリンタを展示していました。ワークステーションでは、HP Remote Graphics Softwareというリモートデスクトップのような独自のソフトウェアをデモしていました。
http://h50146.www5.hp.com/products/workstations/remote/
例えばデスクトップワークステーション上でArcGISを実行し別なPC上でそのワークステーションのデスクトップを表示し、操作できるというものですが、ワークステーション側のデスクトップも同時に操作可能で、2台で同じデスクトップを共有できるようなイメージです。
帯域圧縮をがんばっているので、カクカク感はデモではなかったです。また、OpenGLを使った3Dアプリケーション(ArcGlobe)もさくさくと表示されていました。
このソフトウェアはHPワークステーション(Zシリーズ)には無償でプリインストールされており、リモート側はHP製PCでなくてもHP Remote Graphics Softwareを無償でインストールして使用できるとのことでした。
職場でArcGISを動かしているPCはいままでHPのxw6400というちょっと古い機種からちょうどHP Z420に変えるところだったので、いろいろいじってみようと思います。
感想のようなもの
地図をつかったアプリケーションの検討では、どのような可視化方法があるか知っておくとよいので、今回は分野をとわずいろいろな事例も見てみることも心がけています。