
ソフトウェアエンジニアリング (Object Oriented SELECTION)
- 作者: Eric. J. Braude,羽生田栄一
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2004/03/19
- メディア: 単行本
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要求分析
2段階に分けて要求分析を扱っている点が興味深いです。
- 顧客要求(C-要求)
- 開発者要求(D-要求)
1.は、主要な読み手は顧客、次の読み手が開発者。2.は、主要な読み手は開発者、次の読み手が顧客とターゲットを明確に分けて記述します。
要求分析を記述する成果物:ソフトウェア要求仕様書
SRS:Software Requirement Specification
要求分析は、顧客と開発側との合意事項なので、顧客、開発側(上層部)に理解できる形式で書かれます。
章節構成
1. はじめに
2. 全体の記述
3. 具体的な記述(特定要求)
4. 関連情報
このうち、1.と2.がC-要求、4はD-要求。3.はその中間になります。
C-要求は、顧客の持つ無意識・不完全な動作ビジョン(コンセプト)を明確化するために、ユースケース、データフロー、状態遷移などの手法を適切に組み合わせて表現します。ユーザーインタフェースは設計で実施してもよいが、顧客がGUIを見ることによりアプリケーションを具体的に想像できるので、この段階でGUIのスケッチを利用するとよいでしょう。
D-要求は、開発側の仕様記述となり、機能要求、非機能要求、禁止要求を記述します。
アーキテクチャ設計
設計は、アーキテクチャ設計と詳細設計に分けています。アーキテクチャ設計では、アーキテクチャの選択を行います。設計目標に優先順位をつけて、その順位について最良の選択を行います。
アーキテクチャは、アプリケーションがどのように動くかというメンタルモデルをいくつかのコンポーネントで構成したものです。ゼロから考えることもありますが、アーキテクチャ・パターンのようにすでに開発されたアーキテクチャも有用です。
日本語で読めるアーキテクチャパターン本は以下のものがあります。
古典的なデータフローアーキテクチャ、クライアント/サーバアーキテクチャ、イベントシステム、バーチャルマシーン、レイヤー、などなど紹介されています。
設計を記述する成果物:ソフトウェア設計ドキュメント
SDD:Software Design Document
章節構成
1.序論
2.参照
3.分解に関する記述
4.依存に関する記述
5.インタフェースに関する記述
6.詳細設計
ドキュメント
ソフトウェア開発に関するドキュメンテーション標準としては、IEEE830-1993が制定されています。しかし、古いのでオブジェクト指向やインターネット問題への対応ができていません。この書籍では、IEEE標準をオブジェクト指向にそって修正/追加して対応するという方針をとっています。